2011年11月6日日曜日

TPPでアメリカに踏み絵を迫られた日本経済の非常事態

オバマ大統領も野田総理の腹の内を読み抜いたフシがある。さる10月12日、米上下院は韓国との自由貿易協定(FTA)を可決した。米韓のFTAが発効すれば2.5%の自動車関税が撤廃されることから、北米市場で現代自動車など韓国勢のシェアが急拡大するのは間違いない。結果として日本勢直撃の図式だ。もしも日米が2国間で交渉すれば、米韓同様のFTAに踏み切れたはずである。ところがオバマ政権はTPPを優先し、2国間交渉の門戸を実質的に閉じてしまった。したがってトヨタ、ホンダなどが北米市場で韓国メーカーと対等に競争するためには、TPPへの参加が不可欠になってくる。
 「米韓FTAは、日本をTPPに引っ張り込むためにオバマが仕掛けた高等戦術といえば話は早い。メンバー構成からも明らかなように、もし日本がTPPに参加しなければ将棋でいう飛車角落ちとなり、TPPが弱者連合に成り下がる。シタタカな米オバマ政権がそんな事態を回避すべく知恵を絞って日本を引っ張り出そうとしていた折も折、妙な色気に取りつかれたドジョウ政権が揉み手で急接近してきた。オバマ政権の目には“鴨ネギ”と映ったはずで、大統領は含み笑いを噛み殺すのに懸命だったようです」(情報筋)

 このように日米両政権の妙な思惑が一致し、野田政権の下で日本がTPPに参加すれば、BSE(牛海綿状脳症)規制が撤廃されるのは必至。それどころか国境を越えた金融ビジネスに風穴が開くことで、巨大な郵政・共済事業に米国の大手資本が参入し、日本市場が青い目の軍門に下るのは目に見えている。
 むろん、賛成論者は「そうさせないために交渉に参加し、日本に不利な条件を排除する必要がある。遅れて参加した場合、ダメージが大きい」と強調する。これも一理あるが、留意しなければならないのは、今後も主導権は“TPPの議長国”を自負する米国が握ることだ。即ちTPPが米国の利益と表裏一体の関係にある以上、日本を含む“その他大勢”の各国の国益とは相容れない図式が見えているのである。
 「チリやニュージーランドなどの4カ国で始めた協定に米国が途中から加わった理由は、太平洋を囲む国々は米国の縄張りでなければならないという強者の論理に他なりません。野田政権に踏み絵を迫っているのも、煮ても焼いても食えない菅政権に比べれば、まだマシと睨んでいる証拠です」(大手商社マン)

 どうやらドジョウ総理、オバマ政権の掌で踊らされたピエロ、いや孫悟空のようである。

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